【最新!】令和6年7月期一陸技試験『無線工学の基礎』A-8 解説⑧🍌

無線工学の基礎

図に示す回路の交流電源電圧$\dot{V}$[V]と電源から流れる電流$\dot{I}$[A]の位相について述べたものとして、ABCに入る正しい組み合わせを選べ。

(1)回路の合成インピーダンス$\dot{Z}$は、
$\dot{Z}={\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}+j(\textcolor{blue}A)$[Ω]で表される。
(2)$\dot{I}$[A]と$\dot{V}$[V]は、$\dot{Z}$の虚数部が0のとき、同位相になり、次式が成り立つ。
${\Large\frac{L}{CR}}=\textcolor{blue}B $・・・①
(3)式①が成り立つとき、$\dot{I}$を$\dot{I_r}$とすると、
$\dot{I_r}=\Large\frac{\dot{V}}{\textcolor{blue}C}$[A]で表される。

1 A:$ωL+\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}$ B:$\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}$ C:$R$
2 A:$ωL+\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}$ B:$\frac{R}{1-ω^2C^2R^2}$ C:$\frac{L}{CR}$
3 A:$ωL-\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}$ B:$\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}$ C:$R$
4 A:$ωL-\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}$ B:$\frac{R}{1-ω^2C^2R^2}$ C:$\frac{L}{CR}$
5 A:$ωL-\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}$ B:$\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}$ C:$\frac{L}{CR}$

おさる君
おさる君

インピーダンス・・・インピーダンス・・・思い出せないッキ

ざるい先生
ざるい先生

大丈夫! 復習していこう!

①インピーダンス$\dot{Z}$を求めよう!

合成インピーダンスとは、抵抗成分とリアクタンス成分をあわせた、交流回路における総合的な”電流を妨げる力”のことです。

コンデンサのインピーダンス$\dot{Z_C}$は以下の式で表されます。

$\dot{Z_C}=j\Large\frac{1}{ωC}$

$\\$

また、コイルのインピーダンス$\dot{Z_L}$は以下の式で表されます。

$\dot{Z_L}=jωL$

インピーダンスはこちらの記事でも扱っています。
参考にしてみてください。

$\\$

まとめると以下のようになります。

それぞれのインピーダンスがわかったところで、回路の合成インピーダンスを求めていきます。

回路より、コンデンサCと抵抗Rは並列接続なのがわかります。
並列接続のときの合成インピーダンスは${\Large\frac{1}{Z_{CR}}}={\Large\frac{1}{Z_R}}+\Large\frac{1}{Z_C}$で表されましたね。

合成抵抗(合成インピーダンス)の求め方はこちらから

${\Large\frac{1}{Z_{CR}}}={\Large\frac{1}{Z_R}}+{\Large\frac{1}{Z_C}}$
${\Large\frac{1}{Z_{CR}}}={\Large\frac{1}{R}}+{\Large\frac{1}{\frac{1}{jωC}}}$
${\Large\frac{1}{Z_{CR}}}={\Large\frac{1}{R}}+jωC$
$Z_{CR}={\Large\frac{1}{\frac{1}{R}+jωC}}$
$\textcolor{red}{↓↓↓有利化}$
$Z_{CR}={\Large\frac{1}{\frac{1}{R}+jωC}}×\textcolor{red}{\Large\frac{\frac{1}{R}-{jωC}}{\frac{1}{R}-{jωC}}}$
$Z_{CR}=\Large\frac{\frac{1}{R}-jωC}{{(\frac{1}{R})}^2-{(jωC)}^2}$

この式を実数部と虚数部にわけます。

$Z_{CR}={\Large\frac{\frac{1}{R}}{{(\frac{1}{R})}^2+{(ωC)}^2}}-j\Large\frac{ωC}{{(\frac{1}{R})}^2+{(ωC)}^2}$
$Z_{CR}={\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}-j\Large\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}$

これで$Z_{CR}$が求められました。
$Z_{CR}$とコイルLのインピーダンス$Z_L$の合成インピーダンス$\dot{Z}$は以下の式で求められます。

$\dot{Z}={\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}-j{\Large{\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}}}+jωL$
$\dot{Z}={\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}-j{(\Large{\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}}}-ωL)$

$\dot{Z}={\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}-j{(\Large{\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}}}-ωL)$

以上より、Aの答えは${\Large{\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}}}-ωL$になります。
$\\$

②$\dot{Z}$の虚数部が0の場合を考えよう!

回路のインピーダンスの虚数部が0ということは、以下の式が成り立ちますね。

${\Large{\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}}}-ωL=0$

この式を整理します。

${\Large{\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}}}=ωL$
$ωCR^2=ωL(1+ω^2C^2R^2)$
$CR^2=L(1+ω^2C^2R^2)$
${\Large\frac{L}{CR}}={\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}$

Bの答えは${\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}$になります。

$\\$

③電流$\dot{I_r}$を求めよう!

式①${\Large\frac{L}{CR}}={\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}$が成り立つということは、
設問より$\dot{Z}$の虚数部が0ということを意味します。

$\dot{Z}={\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}$

電流$\dot{I}$は以下の式で求められましたね。

$\dot{I}=\Large\frac{\dot{V}}{\dot{Z}}$

これより$\dot{I_r}$は、

$\dot{I_r}=\Large\frac{\dot{V}}{{\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}}$

式①が成り立つので、

$\dot{I_r}=\Large\frac{\dot{V}}{{\Large\frac{L}{CR}}}$

以上より、Cの答えは$\Large\frac{L}{CR}$となります。

$\\$

A:${\Large{\frac{ωCR^2}{1+ω^2C^2R^2}}}-ωL$
B:${\Large\frac{R}{1+ω^2C^2R^2}}$
C:$\Large\frac{L}{CR}$

よって解答は選択肢5になります。
$\\$

まとめ

RLC回路の問題でした。

比較的簡単に解けたのではないでしょうか。

今回のポイントは以下のとおりです。

①コンデンサCのインピーダンス:$\dot{Z_C}=j\Large\frac{1}{ωC}$
②コイルLのインピーダンス:$\dot{Z_L}=jωL$
③並列接続の合成インピーダンスの求め方は、並列接続の合成抵抗と同じ

おさる君
おさる君

インピーダンスをマスターしたッキ!

ざるい先生
ざるい先生

自信を持つのは良いことだよ!

参考:試験問題と解答 | 公益財団法人 日本無線協会 (nichimu.or.jp)

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