一般的なデジタル伝達における伝送誤りについて述べた文章のうち、誤っているものを選べ。
ただし、信号空間ダイアグラム上の信号点が変動し、受信側において隣接する信号点と誤って判断する現象をシンボル誤りといい、シンボル誤りが発生する確率をシンボル誤り率という。
また、信号空間における信号点の間の距離のうち、最も短いものを信号点間距離とする。
1 シンボル誤り率は、信号点間距離に依存する。
2 16PSKと16QAMを比較すると、一般に両方式の平均電力が同じ場合、16PSKの方が信号点間距離が長い。
3 16PSKと16QAMを比較すると、一般に両方式の平均電力が同じ場合、16PSKの方がシンボル誤り率が大きくなる。
4 伝送路や受信機内部で発生する雑音及びフェージングは、シンボル誤り率を増加させる要因となる。
解答はこちら
選択肢2

伝送誤り?

送信側と受信側で
情報にズレが生じることだね
シンボル誤りとは?

シンボル誤りとは、送信側で送った情報が受信側で正しく判別されない現象のことです。
例えば、送信側で「A」という情報を送ったのに、受信側では「B」として受信されるようなものです。
なぜこのような現象が起こるのかというと、
雑音(ノイズ)やフェージング(電波の揺らぎ)、信号の減衰などによって、受信信号が本来の位置からずれてしまうためです。
デジタル通信では、送信された情報は「信号点」として配置されますが、受信側ではこれを正しく認識する必要があります。
しかし、雑音や環境の影響によって信号点が本来の位置からズレると、隣の信号点と誤認識してしまうことがあります。
そのためシンボル誤りが起きるのですね。
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PSK・QAMとは?
PSKやQAMは、デジタル信号を送るための変調方式です。
ちなみに変調とは、情報を電波(搬送波)などに載せて遠くに送ることです。
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PSK(位相偏移変調)

PSKは信号の「位相(角度)」を変えて情報を送る方法です。
正弦波の波形の「角度(位相)」を変えることでデータを表現しています。
例えば、「0度=0」、「180度=1」という風に割り当てると、2つの情報(0と1)を送れますよね。
それより多くの情報を送るには、角度をもっと細かく分けて、2つ以上の情報(01や11)を表せるようにすればいいのです。
細かく区切れば区切るほど多くの情報を送ることができます。
しかし、その分、隣り合う信号点の間隔が狭くなり、誤認識してしまう確率が上がります。
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QAM(直交振幅変調)

QAMは信号の「位相」と「振幅」を両方変えて情報を送る方法です。
PSKでは位相だけでしたが、QAMは位相と振幅両方で情報を表すので、PSKより多くの情報を一度に送ることができます。
QAMには16QAM、64QAM、256QAMなどがありますが、これらの数字は信号点の数を表しています。
PSK同様、数が多いほど多くの情報を送ることができるのです。
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比較表
方式 | 情報量 | 雑音耐性 | 使われる場面 |
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PSK | 少ない | 強い | 衛星通信、Wi-Fi |
QAM | 多い | 弱い | スマホ通信 テレビ放送 |
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問題を解こう!
1 シンボル誤り率は、信号点間距離に依存する。
選択肢1は正しいです。
信号点の距離が短くなるほど、シンボル誤り率は大きくなりましたね。
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2 16PSKと16QAMを比較すると、一般に両方式の平均電力が同じ場合、16PSKの方が信号点間距離が長い。
選択肢2は誤りです。
PSKは円上に均等に信号点があるため、信号点間距離が短くなりがちです。
グリッド上に信号点が配置されるQAMのほうが、信号点間距離は長いです。
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3 16PSKと16QAMを比較すると、一般に両方式の平均電力が同じ場合、16PSKの方がシンボル誤り率が大きくなる。
選択肢3は正しいです。
PSKの方が信号点間距離が短いので、それだけシンボル誤り率は大きくなります。
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4 伝送路や受信機内部で発生する雑音及びフェージングは、シンボル誤り率を増加させる要因となる。
選択肢4は正しいです。
雑音(ノイズ)やフェージング(電波の揺らぎ)、信号の減衰などによって、信号点がずれるとシンボル誤り率は増加します。
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以上より、選択肢2が解答になります!
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まとめ
今回は、変調方式の問題でした。
ポイントは以下の2点です。
①PSK(位相偏移変調)はノイズに強いが、送れる情報が少なくシンボル誤り率が大きい
②QAM(直行振幅変調)は送れる情報が大くシンボル誤り率が小さいが、ノイズに弱い